株式市場で「受動部品」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は14.4%と、東証株価指数(TOPIX、1.7%高)を上回りました(5月29日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
AI関連の出遅れ銘柄として物色集める
受動部品関連株が上昇したきっかけは、値上げによる採算改善への期待が高まったことです。
受動部品は供給される電力を消費、蓄積、放出するなど「受動的」な仕事をする電子デバイスです。代表的な受動部品としては、抵抗器、コンデンサー、コイルなどが挙げられます。また、仕向け先は、スマートフォン、自動車、AIデータセンターなど多岐にわたります。
足元で、AI(人工知能)需要の拡大で、半導体やデータセンターへの設備投資が増えるなか、AIデータセンター向けが伸び業績の上振れ期待が高まりました。
市場では、AIや半導体関連銘柄への注目が高まるなか、「受動部品」は出遅れAI関連銘柄として物色されました。

追加の生産能力増強も視野【太陽誘電】
上昇率首位の「 太陽誘電 」は積層セラミックコンデンサー(MLCC)やインダクター(コイル)を手掛けています。用途分野別売上構成比は、データセンターや基地局通信装置向けの情報インフラ・産業機器が24%、自動車が30%、スマートフォンなど通信機器が21%、パソコンなど情報機器が17%を占めています(2026年3月期時点)。
同社の佐瀬克也社長はインタビューでMLCCについて「需要次第では追加の生産能力増強も視野に入る」方針を示したと5月28日に報じられました。MLCCの需要に対する強気な姿勢を示したとの見方もあり、今後の生産能力増強と収益拡大にも期待できそうです。
アルミ電解コンデンサーで世界一【日本ケミコン】
上昇率2位の「 日本ケミコン 」はアルミ電解コンデンサーで世界トップシェアを誇ります。コンデンサーの主要材料であるアルミニウム電極箔の生産も世界一となっており、他のコンデンサーメーカーに供給しています。
2029年3月期を最終年度とする中期経営計画(中計)では29年3月期のAIサーバー向けの売上高を26年3月期比2.5倍とする目標を掲げています。アルミ電解コンデンサーもMLCCと同様に需要増や値上げが期待できそうです。
電力効率向上のためのコンデンサーも
「 日本抵抗器製作所 」は固定抵抗器やポテンショメーター(可変抵抗器)、センサー、高密度実装電子回路(ハイブリッドIC)を開発・製造しています。
「 指月電機製作所 」は電力効率を向上させる進相コンデンサーや落雷などによる瞬間的な電圧低下から工場の生産を守る瞬低補償装置などを手掛けています。
「 村田製作所 」はMLCCやコイル、抵抗器など幅広い電子部品を展開しています。
いずれの企業も半導体やデータセンターに必要不可欠な部品や装置を販売しており、想定以上の需要増や供給ひっ迫による値上げなどが成長に追い風となるでしょう。
日米でデータセンター向け設備投資が旺盛
5月26日、日本工作機械工業会(日工会、東京・港)が4月の工作機械受注額(確報値)を発表。受注額は、前年同月比45%増の1889億円と高水準でした。データセンター向けの設備投資が受注を押し上げているとの見方があります。
米国勢調査局が6月1日に発表した4月の米建設支出でも、データセンター建設支出(季節調整済み)は前年同月比28%増とデータセンターへの設備投資が旺盛です。
米国と日本のどちらでもデータセンターや半導体への設備投資が増えている実態が明らかになり、関連銘柄の上昇が相場をけん引しています。関連銘柄は受動部品以外にも多岐にわたるため、関連する部品や装置を手掛ける銘柄を広くチェックし、投資判断に役立てたいですね。