中東鎮静化期待や決算発表受け再び高値更新

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生の株式相場プレイバック」。今回は、先月に続き高値を更新した日本株市場を物色や決算から振り返ります。

カエル先生の一言

5月の日本株市場は、引き続き中東情勢の鎮静化期待などを背景に日経平均は高値を更新、6万6000円台乗せとなりました。そのなか、決算発表などを手掛かりに業種別で見た物色にも変化がありました。全体で見た決算は慎重なものにとどまりましたが、強気の業績計画を発表した銘柄に注目が集まりそうです。

5月の日本株市場

5月の日本株市場は、月初連休明けの7日に日経平均が3320円(5.5%)の大幅上昇。連休中に海外市場で米国とイランの戦闘が早期に終結するとの観測や、それに伴う原油価格の下落などを好感し、ハイテク株を中心に上昇した流れを受け高値を更新しました。

月半ばは、企業の3月期決算発表が本格化するなか、良好な業績計画を示した銘柄が買われるなど個別物色が強まり、13日に再び日経平均は高値を更新。

月末は、米国とイラン間の戦闘終結に向けた合意期待などを受けた海外市場の流れを受け、日経平均は25日に6万5000円台、月末最終日の29日には6万6000円台に乗せ最高値を更新しました。

5月29日の日経平均株価(終値)は6万6329円、前月末比7044円高となりました。

物色に変化、広がりの動きも

5月の日本株市場は、4月に続いて高値を更新する上昇基調となりましたが、決算発表などを受けて業種別で見た物色動向に変化が現れています。

4月は、「非鉄金属」や「電気機器」などが、AI(人工知能)・半導体・データセンター等の成長期待で買われた一方、「鉱業」や「石油・石炭製品」が原油価格の上昇一服などから下落しました。

5月は、AI・半導体などの成長期待は変わらず、引き続き「電気機器」が買われたものの、市場予想を下回る決算を発表した一部の電線株が売られ「非鉄金属」が失速。

新たに、好調な業績動向が好感された教育・人材関連企業や、国策期待が手掛かり材料となった宇宙関連企業などを含む「サービス業」、AI技術の活用サービスなどが評価されたシステム関連企業や、AI・ゲーム開発事業が注目されたゲーム関連企業などを含む「情報・通信業」などが大きく上昇しました。

決算発表を受け選別されるとともに、AI関連でも業種をまたいで裾野が広がるなど物色にも広がりが伺えます。

債券市場 長短金利差拡大の影響は

株式市場とは別に5月の展開で注目されるのは債券市場の動向です。

国内の債券市場で長短金利差の拡大傾向が強まりました。長短金利差は、2年物(短期金利)と10年物(長期金利)の新発利付国債の利回りの差を表したものです。

長短金利差拡大の背景としては、主に長期金利の上昇が挙げられます。長期金利は、原油価格が高止まりするなか、日銀による利上げが先送りされるとの思惑や、財政拡張に対する警戒感から、長い期間の債券利回りが上昇しやすくなっている動きが反映されていると考えられます。

一方、米国債券市場では、2022年7月から2024年8月まで約2年にわたって続いた逆イールド(短期金利が長期金利を上回る長短金利差の逆転状態)が解消。FRB(米連邦準備理事会)の利下げによる短期金利の低下と、インフレ期待による長期金利の上昇などにより、順イールドで推移しています。

日本の長短金利差の拡大は、利ざやの拡大を通じて銀行や保険など金融株にはプラスとなる一方、企業の資金調達コストの上昇懸念が株価の重しとなる場面も考えられます。また、日米の金融政策スタンスや金利水準の差が意識されることで、為替相場で円高ドル安が意識されやすい展開も想定されそうです。

業績動向 慎重だった期初会社計画

4月の下旬から5月の中旬にかけて行われた3月期決算企業の決算発表で、注目された2027年3月期会社計画は慎重なものとなりました。

継続的にデータを集計できるTOPIX採用3月期決算企業の2027年3月期経常利益会社計画は、市場予想の前期比9.5%増を下回る3.5%増に。

例年、会社期初計画は慎重なものとなり市場予想を下回る傾向があります。今回は中東情勢の不透明感も影響したと考えられます。

特に、外需企業は、市場予想14.1%増に対して、5.9%増と大きく低位にとどまっています。一方、先行きの業績は、昨年の米関税の影響からの持ち直しが見込まれます。期を追うごとの計画の上方修正を含め、順調に業績の上積みが進む局面も期待されそうです。

強気の会社計画を発表した銘柄

2027年3月期会社計画は総じて慎重なものとなったなか、強気の会社計画を発表した企業も散見されます。

以下は、TOPIX採用3月決算企業の経常利益で、2026年3月期実績が会社計画比10%以上上ブレ、2027年3月期会社計画が前期比10%以上増益、などの条件を満たす企業です。

外部環境が不透明な中にあっても、前期実績の2ケタ増益に続いて、今期計画も2ケタ増益とする企業は、業績動向に一定の自信を持っていると言えるでしょう。強気の会社計画を公表した銘柄として注目してみてはいかがでしょうか。

清水建設
王子ホールディングス
関東電化工業
ENEOSホールディングス
DOWAホールディングス
アドバンテスト
IHI
小糸製作所
東京計器
七十七銀行