月々10 万円、年120 万円がず〜っと入ってくる毎月配当株投資  杉村 富生

投資がもっと楽しくなる!日興フロッギー選書/ 杉村 富生

投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、4回にわたってご紹介する本連載。今回は、杉村 富生さんの「月々10 万円、年120 万円がず〜っと入ってくる毎月配当株投資」です。第1回目は、「配当投資」や「株式貯蓄」の重要性と、「長期・逆張り」の投資スタンスについてご紹介します。[PR]

株式投資の基本は配当、短期売買の「利食い千人力」で巨利は得られない

株式投資は「利回りに始まり、利回りに終わる」といわれています。そう、基本は配当です。しかし、昨今は短期・順張りが主流になっています。

まして、「感情を持たない投資家」の登場は株式市場の〝景色〟を一変させました。すなわち、マシン(機械)、AI(人工知能)などが無機質に売買を行なうのです。

代表的なものがHFT(High-Frequency-Trading)でしょう。1秒間に数千回の売買をする、といわれています。このような取引は上に動いても下に動いても、どちらでもよいのです。もちろん、株価指数先物、オプション取引も多用します。当然ですが、インデックス(指数)の振幅(ボラティリティ=株価変動率)は高くなります。正直、ばかばかしくて付き合っていられません。

そのHFT取引が東証の売買代金に占める比率は急上昇を示しています。2010年は3%弱でした。それが2025年には38%、2026年は40%台となっています。

改めて述べるまでもありません。株価を決めるのは価値、需給、そして人気です。これを「株価の3要素」と称しています。

価値は経営資源のすべてです。最終的には1株利益(EPS)に収れんされます。需給と人気は株価収益率(PER)に影響を与えます。需給は重要です。ちなみに、株価は1株利益×株価収益率の計算式によって、算出できます。

ところで、好業績はなぜ、株価の見直しにつながるのでしょうか。それは1株利益が増え、株価収益率が低下するとともに、増配が期待できるからです。やはり、基本は配当なのです。

筆者は大都市はもちろんのこと、地方都市での講演会にたくさん呼ばれます。その折、感心するのは〝株長者〟の人たちが続出している、という事実です。多くが優良株の長期投資(GARP戦術→優良株の安いところを買って、長期保有する)によるものです。昔のように、「利食い千人力」では巨利は得られません。

すなわち、〝株長者〟の人たちに共通しているのは、長期投資のスタンスです。従業員持ち株会に加入し、退職時には「億円単位の資産が得られた」という人たちがたくさんいます。いわゆる「コツコツ投資」です。日銀のETF買いの成功は、これと似たようなものではありませんか。

株式貯蓄が必要不可欠となる時代、配当株投資がもたらす果実

かつて、5円とか1割など「安定配当」という言葉がありました。それが業績連動型に変わり、次に「配当性向」が重視されるようになりました。最近は、自己資本配当比率、累進配当政策などを経営目標とする企業が増えています。

こうした動きは東証改革(コーポレートガバナンス)の成果です。すなわち、経営者の意識は大きく変わったのです。2026年3月期の配当金総額は25兆円を超える見通しです。もちろん、これは5期連続の最高益です。

さて、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の家計の金融行動に関する世論調査(2025年)は、衝撃的なデータを明らかにしています。すなわち、80歳代(単身世帯)の貯蓄額の平均値は1364万円、中央値は300万円というのです。貯蓄額が300万円では「豊かな老後」は望むべくもありません。それどころか30.4%の人は貯蓄額が「ゼロ」だそうです。いや~、これは……。やはり、若いうちにせめて、人生設計の1つに「株式貯蓄」の概念を取り入れ、給料とか事業所得以外の道、すなわち配当による収入増をはかる工夫が必要ではないでしょうか。

配当株投資では長期・逆張りの姿勢が好結果を生む

古来、「欲に切りなし、地獄に底なし」といわれています。これは投資家の人生訓です。さらに、先人は「株式投資では儲けよう、儲けようとの強い気持ちを捨てよ」と教えています。

これはなかなかできるものではありませんが、株式投資において、じっと利食いを我慢していたら、結果的に「資産が激増した」などという話はよく聞きます。いわゆる、優良株の長期投資です。

これは奈良県在住の知人(後期高齢者)の話ですが、「10年以上も前にエヌビディア(NVDA)を買った。当初は上がったり下がったりを繰り返していたが、値動きを追いかけるのは精神的に疲れるし面倒なので放っておいた。現在、投資資金の時価は100倍以上、2億円を超えている」と。いやはや、すごい話ではありませんか。

話は変わりますが、日銀(日本銀行)のETF(上場株式投信)買いは、安いところをコツコツと買った結果、37兆円の投資資金が2025年秋の時価では80兆円になっています。これは年率7%の投資成果です。このETFは年間6200億円ずつ112年かけて売却する計画になっています。ところが、実は売っても売っても理論上は資産が減らないのです。

投資の世界には、「7.2%の法則」というものがあります。これは投資資金を年利7.2%で複利運用した場合、資産は10年後に2倍になることを意味します。

この法則を当てはめると、112年後、日銀保有のETFの残高は1250兆円に膨らむ計算です。すごい話ではありませんか。

これが優良株の長期投資の醍醐味です。すぐ結果の出る短期・順張り投資は楽しいものですが、やはりこのような長期・逆張り投資は大切ではないでしょうか。

特に、配当株投資においては長期・逆張りの姿勢が好結果を生むと思います。全体相場の余波を受け、安くなった優良株の下値を丹念に拾うのです。その積み重ねが多くの配当金をもたらしてくれるのです。