投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、4回にわたってご紹介する本連載。今回は、杉村 富生さんの「月々10 万円、年120 万円がず〜っと入ってくる毎月配当株投資」です。第3回目は、企業の配当方針と配当原資の見方についてご紹介します。[PR]
重要指標から企業の配当方針を理解する
配当は当然ですが、業績に影響を受けます。特に、昨今は「業績連動型」になっています。従来の「安定配当」ではありません。
したがって、常に減配のリスクがあります。無配に陥ることすらあります。だからこそ、会社側の配当に対する考え方(経営方針)を理解することが肝要な作業となるのです。
配当に関する経営方針には①配当性向、②自己資本(株主資本)配当率、③累進配当などがあり、これらのチェックは不可欠です。増配を続けている企業(いわゆる配当貴族)は評価できます。
なお、①の配当性向とは、企業の利益(当期純利益)のうち、どれくらいの割合を配当金として株主に還元しているかを示す指標です。計算式は「配当金総額÷当期純利益×100」、または「1株当たり配当金÷1株当たり当期純利益×100」で算出されます。したがって、配当性向が高いほど、企業は多くの利益を株主に還元していると判断できます。
②の自己資本配当率は、企業が株主資本に対しどの程度の配当を支払っているかを示す指標です。計算式は「年間の配当総額÷自己資本×100」、または「配当性向×自己資本利益率×100」で算出されます。
③の累進配当は、企業が株主に支払う配当金を毎年増配するか、最低でも横ばいの配当を維持し続けることを指します。これは株主還元強化を目指す重要な配当政策であり、累進配当を表明している企業は「累進配当企業」と呼ばれています。いわゆる、「減配をしない」との株主に対する〝約束〟です。
ウォール街(NY市場)では、配当貴族銘柄のパフォーマンスのよさが話題になります。配当貴族とは長期間、毎年配当を増やしている企業のことですが、これは日本のマーケット(東京株式市場)でも同様です。
株主配当の原資となる最重要の指標、増減のチェックは不可欠
株主配当の原資となる最重要の指標として「利益剰余金」が挙げられます。これは、貸借対照表の純資産に記載される自己資本の一部です。
利益剰余金は、文字どおり会社が生み出した利益のうち、社内に積み立てられたお金の合計であり、この使い道(使途)は、①株主に利益を分配する剰余金の配当(株主配当)、②利益準備金、任意積立金として社内に蓄積する内部留保があります。
利益剰余金は会社の資金力を示す重要な財務指標であり、この金額が多い場合、その会社が安定して利益を出し続け、その利益を有効活用できる可能性が高いことを意味します。したがって、業績が発表されるごとに決算短信をよく見て、利益剰余金の金額はもとより、前の期との増減をチェックしておく必要があります。前の期に対し、大きく減少すると、減配リスクが高まります。
反面、利益剰余金がマイナスの会社は投資対象になりません。

決算発表後の下方修正には要注意、早めの撤退が肝要
配当株投資で最も気をつけなければならないものに、「減配」があります。減配とは文字どおり、株主に支払われる配当金が減額されることです。減配は投資家が忌み嫌うネガティブ要因となるため、これが報じられると株価は大きなダメージを受けます。
この減配には大きく分けて、①決算で前期よりも今期の配当が少なく発表されるケース、②決算発表後、前触れもなく下方修正されるケースがあります。
長期投資の場合を除き、①のケースは発表の時期がまだ買いに入る前であれば、問題はないでしょう。しかし、②のケースは、直前の決算発表を見てすでに買いに入ってしまった場合、大きな痛手を受けることになります。
筆者は減配銘柄の予兆、サインは決算発表の際に明示される1株利益にある、と考えています。
四半期ごとに発表される決算短信には、直近の実績値と前期の実績値が記載されています。今回ご紹介した会社の配当方針や配当原資の見方を参考に、これを忘れずチェックすることが大切です。

