「水平リサイクル」 繰り返し利用で原材料確保

フォーカス!押さえておきたいテーマと企業/ QUICK

将来的な資源不足への懸念が強まるなか、廃棄物を減らし原材料を確保する手段として「水平リサイクル」が注目されています。「水平リサイクル」は、使用済み製品を同じ製品に再生する技術です。この取り組みを進めるライオンを中心に、各社の動向をご紹介します。

ライオンがつめかえパックの「水平リサイクル」を実現

今年5月、「 ライオン 」は、「 artience 」傘下の東洋インキと共同で、つめかえパックからつめかえパックへの水平リサイクルを実現したと発表しました。

5月に限定発売されたライオンの洗剤「アクロン フローラルブーケの香り つめかえ用大」の包装材に、2024年に商品化された浴室用洗剤「ルックプラス バスタブクレンジングつめかえ用大サイズ」の製造時に製品として使われなかった積層フィルムをリサイクル材として再利用しました。

つめかえパックは用途によって求められる性能が異なり、プラスチックフィルムの間に印刷インキや接着剤といった他素材を使うため、従来はリサイクル工程で接着剤やインキの除去が難しく、再生プラスチックの使用先も限られていました。

今回、アルカリ処理をすることで素材の異なるフィルム同士を剥離し、印刷インキをフィルムから取り除く「剥離リサイクル技術」を開発しました。これにより製造端材を粉砕・分離して、高純度なポリエチレンとして回収。新たなつめかえパックとして再生できたことが画期的な取り組みとなりました。

「水平リサイクル」で原材料調達リスクを軽減

これまでもプラスチックやペットボトルのリサイクルは普及してきましたが、低品質な再生プラスチックは使用先が限られてしまうのが課題でした。

近年、欧州を中心に再生材利用を促す規制が強化され、同じ製品に再生することで、限られた資源を繰り返し使える水平リサイクルへの注目が世界的に高まっています。

中東情勢の混乱をきっかけに、ナフサの供給不安で包装材の材料調達などに影響が広がったのは記憶に新しい出来事です。そんななか、原材料の調達リスクを軽減する観点でも、再生材の比率を高めることは重要になっています。

水平リサイクルとは

・使用済み製品を同種の製品にリサイクルする方法
・元の製品と同等品質を維持することが重視される
・資源の調達リスクの低減や廃棄物削減、CO2排出削減に寄与
・高品質な分別回収と異物除去が不可欠で技術的な難易度が高い場合も

各社、資源を使い捨てから再利用へ

ユニ・チャーム 」は、世界初となる紙おむつから紙おむつへの水平リサイクルを実現しています。

使用済みの汚れたおむつを脱水処理後に細かく砕いて洗い、素材別に分別。紙おむつから取り出したパルプには殺菌や漂白、脱臭のオゾン処理を施し、きれいな状態に戻った素材を再び使い新しいおむつに作り変えています。

伊藤園 」は、2030年度までにペットボトルに使用するリサイクル素材などの割合を100%にすることを目的に水平リサイクルに取り組んでいます。自治体や企業とも連携して取り組みを強化しています。

出光興産 」は4月、千葉県市原市に建設していた油化ケミカルリサイクル設備の商業運転を開始したと発表しました。

同設備では使用済みプラスチックを熱などで分解して油に戻す「油化」技術を用いて再生化学原料のCR(ケミカルリサイクル)油を生産。これを原料にケミカルリサイクル化学品から新たなプラスチック製品へと再資源化します。

エフピコ 」は、食品トレーを回収して食品トレーとして再生する水平リサイクルに早くから取り組んできました。スーパーマーケットなどの店頭で回収した使用済みトレーなどを、トレー容器として再生して店に戻す「ストアtoストア」での水平リサイクルを推進しています。

限りある資源は、「使い捨て」から「繰り返し使う」ことで確保する時代へと常識が変わろうとしています。