中東情勢再び緊迫  「石油開発・精製」関連株が上昇

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株式市場で「石油開発・精製」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は5.8%と、東証株価指数(TOPIX、2.9%安)に対して逆行高となりました(7月24日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

WTI原油先物価格は1カ月半ぶりの高水準に

「石油開発・精製」関連銘柄が買われたきっかけは、一度は落ち着きを見せた中東情勢の再度の緊迫化とそれに伴う原油価格の上昇です。

2月下旬、米国・イスラエルによるイランへの攻撃で始まった中東全体を巻き込む紛争は、第3国であるパキスタンの仲介により、4月8日に一時的な停戦合意に至りました。

この暫定合意に伴い、世界的な原油の指標であるニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物の価格は下落に転じます。

紛争開始後の最高値となった4月7日の1バレル112.95ドル(清算値)をピークに値下がりが続き、紆余曲折を経ながらも、7月6日には、ピーク時から約39%安となる1バレル68.55ドルまで値を下げていました。

しかし、その後も停戦を巡る両国の溝は埋まらず、原油価格は再び上昇基調に転じます。7月7日は米軍による攻撃・空爆が再開され、恒久的な停戦や原油価格低下への期待は次第に後退。

7月17日には、イランが親イランの武装組織であるフーシ派に対し、ホルムズ海峡と並ぶ物資輸送の要衝である「紅海」の封鎖準備を整えるように指示していたなどと報じられ、原油価格は再び騰勢を強め、23日には、約1カ月半ぶりに1バレル90ドル台まで上昇しました。

原油価格の上昇は、エネルギー輸入国である日本にとって経済的に重荷となる一方、石油開発・精製関連企業が保有する原油備蓄の「在庫評価益」を大きく押し上げるため、関連各社の利益拡大につながります。業績上振れへの期待から、関連銘柄の株価が上昇しました。

資源開発の最大手 豪州でガス権益を取得【INPEX】

上昇率首位の「 INPEX 」は、世界中に眠る石油・天然ガスの探鉱・開発を主事業とする資源開発の最大手企業です。「地球の力で未来へ挑む」というブランドメッセージを掲げ、海外での事業活動は全体の約9割に上ります。

3月には豪州で大規模シェールガス田の権益を獲得したと発表しました。中東情勢の混乱を機に、政治的に安定しているオーストラリアからのLNG(液化天然ガス)への需要が強まっていて、原油価格の高騰と合わせて今後の業績貢献への期待が高まっています。

原油1ドル上昇で営業利益7.6億円増【石油資源開発】

上昇率2位の「 石油資源開発 」は日本を代表する石油・天然ガスの大手エネルギー開発会社です。1955年に官営企業として設立され、以降日本のエネルギーの安定供給に貢献してきました。

同社は2027年3月期の通期WTI原油価格を1バレル73ドルと想定しており、原油価格が1バレルあたり1ドル上昇するごとに、営業利益ベースで7億6000万円のプラス影響があると試算しています。想定を大幅に上回る現在の原油高は、同社の業績期待を大きく押し上げる追い風となっています。

素材や再エネ、SAFなどの開発にも注力

出光興産 」はガソリンスタンドの運営や石油の輸入・精製を手掛ける石油元売り大手です。2019年に昭和シェル石油と経営統合を果たしました。独自の研究開発力を生かした素材開発や再生可能エネルギーにも力を入れています。

コスモエネルギーホールディングス 」は「ココロも満タンに」のキャッチコピーで知られるガソリンスタンド運営会社「コスモ石油」を傘下に持ち、廃食用油や植物などを原料とする持続可能な航空燃料として知られる「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」の量産化に初めて成功した国内企業としても知られています。

ENEOSホールディングス 」は、国内最大の石油元売り企業で、燃料油の国内販売シェアの約50%を占めています。

ボラティリティー高まるエネルギー市場

原油の一大生産地である中東の情勢は、原油価格を大きく動かす要因となります。過去にもフーシ派による紅海の商船攻撃などをきっかけに、原油価格が急騰する局面がありました(『中東情勢の緊迫で原油高  「石油開発・精製」関連株が上昇』)。

 米国とイランを巡る情勢は一進一退の展開が続いており、エネルギー市場は当面、関連ニュースに左右されるボラティリティー(変動率)の高い展開が予想されます。

 また、世界的なカーボンニュートラルの潮流を受け、エネルギー市場は大きな転換期を迎えています。水素やアンモニアといった次世代エネルギーへの投資をはじめ、SAFなどのバイオ燃料開発も加速しており、関連企業の業績を分析する上では、日々の価格推移に加えてこうした「脱炭素」関連技術の動向にも注視が必要となってきそうです。