スペースX上場に続け 大型IPOの恩恵を受ける企業は

テーマで横ぐし!世界の会社を見てみよう/ 日興フロッギー編集部スタジヲ タケウマ

旬な投資テーマをもとに、関連する国内外の企業をまとめて紹介する本連載。今回のテーマは「大型IPO」です。

6月に上場した宇宙開発企業として知られるスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(以降スペースX)(SPCX)に続き、対話型AI「Claude(クロード)」を開発するアンソロピックや、「ChatGPT」で知られるOpenAIなど、AI分野の大型IPOが期待されています。こうした企業が調達した資金は、半導体やデータセンターなどへの投資につながると見られます。大型IPOの恩恵を受けそうな企業を見ていきましょう。

スペースXの大型IPOが話題に

宇宙開発企業のスペースXが、2026年6月12日に米国のナスダック市場へ上場し、大きな注目を集めました。上場後は株価が大きく上がり、会社の時価総額は一時2.6兆ドルに達し、イーロン・マスク氏が世界で初めて「資産1兆ドル超え」の人物になったことも話題になりました。

市場の関心は、すでに次の大型IPOへ向かっています。今後は、アンソロピックやOpenAIなど、AI分野の有力企業でも上場が期待されています。注目されている理由の一つが、こうした企業による巨額のAI投資です。アンソロピックは米国内のデータセンター投資や大規模な計算資源の確保を進めていて、OpenAIもスターゲート構想を通じて大規模なAIインフラ投資を計画しています。

カエル先生の一言

スターゲート構想とは、OpenAIやソフトバンクグループなどが進める米国のAIインフラ整備計画のこと。AIの開発を支える大規模データセンターの整備を進めていて、2025年1月には総額5000億ドル規模の投資計画が発表されました。

これは、宇宙企業として知られるスペースXも例外ではありません。2026年1〜3月期の設備投資の約76%はAI部門向けでした。宇宙開発のイメージが強い企業ですが、実はAI分野との関わりも深いことがうかがえます。

大型IPOは市場にどんな影響を与える?

大型IPOは、上場する企業だけでなく株式市場全体にも影響を与えることがあります。

まず注目したいのが、株式の需給です。一般的にIPO銘柄では、上場後しばらくの間、大株主や関係者による株式の売却が制限されています。しかし、その制限が解除されると売り手が増え、株価の重しとなる場合があります。

スペースXでは例外的に、一部の関係者が業績や株価目標の達成状況に応じて段階的に株式を売却できるようになる計画が示されています。一部の関係者は初回の四半期決算発表後(8月頃予定)から株式を売却できる可能性があり、今後発表される業績が期待に見合うものとなるかがポイントになりそうです。

一方で、追い風となる材料もあります。スペースXはナスダック100指数へ組み入れられていて、指数に連動するファンドなどからの買い需要が期待されています。さらに、アンソロピックやOpenAI、スペースXを組み入れるETFの申請も話題となっていて、継続的な資金流入につながる可能性があります。

ただし、新たな大型銘柄が指数に加わることで、既存の大型株の構成比率が見直されることもあります。その結果、一部の銘柄では売りが出やすくなる可能性もあり、大型IPOは市場全体の資金の流れにも影響を与えそうです。

大型IPOやAI投資の恩恵を受けそうな企業は?

スペースXでは2026年1〜3月期の設備投資の約76%がAI部門向けでした。今後上場が期待されるAI企業でも、調達した資金がデータセンターや計算資源の整備などに使われる可能性があります。そのため、AI関連の設備投資拡大による恩恵を受ける企業にも注目が集まりそうです。

例えば、半導体関連ではマイクロン・テクノロジー(MU)や「 キオクシアHD 」、データセンター関連ではバーティブ・ホールディングス(VRT)や「 古河電気工業 」などが挙げられます。AIの利用拡大に伴い、こうしたインフラを支える企業への需要増加が見込まれます。

また、大型IPOの恩恵を受けるのはAI関連企業だけではありません。IPOでは証券会社が株式の引き受けや販売を担い、その対価として手数料を受け取ります。スペースXのIPOでは総額約5億ドルの手数料が発生したとされていて、ゴールドマン・サックス・グループ(GS)モルガン・スタンレー(MS)など、大型IPOに関わる投資銀行の業績に寄与する可能性があります。

さらに、有望な未上場企業に出資している企業にも注目です。「 ソフトバンクグループ 」は、OpenAIへの累計出資額が2026年10月までに約650億ドル規模に達する見通しとされています。OpenAIの企業価値向上や将来的なIPOが実現した場合、その恩恵を受ける可能性があります。

もっとも、大型AI企業のIPOが計画通りに進むとは限りません。それでも、大型IPOはAIへの関心を高めるきっかけとなりそうです。関連企業にも目を向けながら、投資機会を探ってみてはいかがでしょうか。