ファストフードチェーン 「安さ」と「価値」で差別化

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物価高などで多様化する消費者ニーズ。ファストフードチェーン各社は、消費者の取り込みと収益の向上を目指し様々な戦略を打ち出しています。ハンバーガー大手のマクドナルドを中心に各社の動向をご紹介します。

マクドナルド、客数回復へ低価格メニューを拡充

マクドナルド(MCD)は4月、低価格メニューを導入すると発表しました。「McValue(マックバリュー)」を拡充し、新たに「3ドル以下メニュー」や「4ドル朝食ミールディール(食事セット)」を揃えます。

インフレの長期化で外食を控える消費者が増え、特に低所得者層を中心に節約志向が強まっています。

こうした状況に対応し、マクドナルドは「より多くの選択肢と柔軟性を提供することで、その日の予定や予算に合わせて手ごろな価格で自由に食事を組み合わせられるようにする」ことで消費を喚起し、客数の回復を図ります。

もう1つの「バリュー」提供で利益成長を目指す

マクドナルドは低価格メニューを充実させる一方、高単価商品も投入しています。

3月、プレミアムバーガー「Big Arch(ビッグアーチ)」を期間限定で発売。クォーターパウンダーのパティ2枚にホワイトチェダーチーズを3枚重ねた1000キロカロリー超の大型バーガーです。カロリーは看板商品「ビッグマック」の約2倍にのぼります。

ビッグアーチは米国での発売を前に複数の海外市場で先行投入し、大きな支持を集めました。英国ではレギュラーメニューに採用されています。同社は今後もプレミアムバーガーの世界展開を拡大する好機があるとしています。

低所得者層に比べて高所得者層の消費意欲は底堅く、マクドナルドは「高所得者層の堅調な成長とシェア拡大が続いている」と指摘しています。低価格戦略と同時に、高価格帯の商品などを通じて「価格に見合う価値(バリュー)」も提供することで利益成長を目指します。

ファストフード各社、物価高に対する商品戦略

・マクドナルド⇒「McValue」で低所得層対応+「Big Arch」などプレミアム化

・バーガーキング⇒ 「5ドルDuo」など割安セット拡充+看板商品「Whopper」改善

・タコベル⇒3ドル以下メニューを大量投入し「低価格×満足感」を両立

・ウェンディーズ⇒4~8ドル台のセット「Biggie Deals」で「価格・品質・量」追求

・チポトレ⇒値下げ競争に距離+新鮮な食材などで高い価値を提供

競合他社も「安さ」と「価値」で差別化図る

競合他社も、それぞれの強みを生かした戦略を打ち出しています。

バーガーキングを展開するレストラン・ブランズ・インターナショナル(QSR)は、「5ドルDuos」や「7ドルTrios」など割安感のあるセットメニューを拡充しています。

同時に、看板商品「Whopper(ワッパー)」を刷新するなど品質向上にも注力。商品力を高めた結果、米国バーガーキングの既存店売上高は4~6月期に前年同期比8.5%増となり、1~3月期の5.8%増から伸びが加速しました。

ヤム・ブランズ(YUM)傘下のタコベルは1月、人気の定番5品と新開発5品の計10品を3ドル以下で提供する「Luxe Value Menu(ラックス・バリュー・メニュー)」を導入しました。手頃な価格と満足感を両立させたメニューの提供で、消費者の購買意欲をそそります。

ウェンディーズ(WEN)は、4~8ドル台の価格帯で提供するお得なバリューセット「Biggie Deals(ビギー・ディールズ)」を展開。「価格・品質・量」のバランスを訴求することで、競合との差別化を図っています。

チポトレ・メキシカン・グリル(CMG)は、値下げ競争に一定の距離を置き、新鮮な食材や高い調理品質などを武器に、顧客への価値提案力を強化しています。

物価高で節約志向が強まるなど消費者ニーズが多様化するなか、ファストフードチェーン各社は、低価格メニューの拡充で客数を確保しつつ、高価格帯商品の導入などで収益性の向上を図るなど様々な戦略を展開。消費者の満足度と自社の収益の向上の両立が、ファストフード各社の差別化と成長力のカギとなりそうです。