ストックオプションという言葉は聞いたことがある。でも、「株がもらえる制度なのか」「給料とどう違うのか」と聞かれると、うまく説明できない人も多いのではないでしょうか。本連載では、そんな“知っているようで知らない”株式報酬について整理していきます。第1回は、ストックオプションとはどのようなものなのか、解説します。
「ストックオプションがあります」と言われたときの勘違い
「我が社はストックオプション制度があります」と聞くと、「株がもらえる」「給料とは別におトクな報酬がある」と思われるかもしれません。しかし、ここには1つ誤解があります。ストックオプションとは、株そのものをもらえる制度ではありません。この前提を勘違いしていると、制度への期待と実態がズレてしまう可能性があります。
ストックオプションとは
ストックオプションとは、「あらかじめ決められた価格で、将来、自社の株を買うことができる権利」です。重要なのは、「株」ではなく「権利」という点です。付与された時点では、株も現金も手にしていません。「あとで使ってもいい前売り券」を渡されている状態と考えると、イメージしやすいかもしれませんね。
「株をもらう制度」との決定的な違い
ストックオプションは、株式そのものを直接もらう株式交付型の株式報酬とは性格が異なります。株式交付型の場合、受け取った瞬間から株主になります。そして株価が下がっても価値がゼロになることは基本的にありません。一方、ストックオプションは「買うかどうかを選べる」制度です。株価が上がらなければ、使わないという選択ができます。ここが両者の決定的な違いです。
なぜ会社は「株」ではなく「権利」を渡すのか
会社がストックオプションを使う理由は明確です。株価が上がらなければ意味がない設計にすることで、社員と会社(経営)の目線をそろえ、モチベーションを高めたいという意図があります。また、付与時点で現金を支払う必要がなく、成果が出たときに報われる仕組みで、結果に連動する報酬として設計されています。
ストックオプションで「損」するケース
ストックオプションは、株価が上がらなければ使わなければいいものです。そのため、保有することで金銭的にマイナスになることは基本的にありません。ただし、「期待していたのに何も起きなかった」という結果になる可能性はあります。ストックオプションのリスクは、「損をすること」ではなく、「報酬がゼロになること」です。
まず押さえておきたいこと
ストックオプションは、もらった瞬間に価値が確定する報酬ではありません。使うかどうか、いつ使うかによって結果が変わります。だからこそ、「おトクそう」「よくわからないから放置」ではなく、仕組みを理解したうえで受け取ることが大切です。
・ストックオプションは「株」ではなく「株を買う権利」
・株式交付型の株式報酬とは仕組みが異なる
・株価が上がらなければ使わなくてよい
・リスクは損失ではなく「報酬がゼロになる可能性」
・全体像を理解することがスタートライン