“知っているようで知らない”株式報酬をひも解く本連載。
ストックオプションが「株を買う権利」だとわかると、次に気になるのは「結局、得なのかどうか」という点ではないでしょうか。第2回では、ストックオプションで“得が出る条件”と、“何も起きない条件”を整理します。どこに分かれ目があるのかを一緒に見ていきましょう。
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「株価が上がれば儲かる」は半分正しい
ストックオプションは、株価が上がらなければ利益を得ることができません。この点では、「株価が上がれば儲かる」という説明は間違っていません。ただし、重要なのは、「どの水準まで株価が上がったか」です。
ストックオプションには、あらかじめ「行使価額」と呼ばれる価格が決められています。これは、将来その株を買うときの値段です。株価がこの行使価額を上回ったとき、初めて価値が生まれます。
得が出るのは「行使価額を超えたとき」
たとえば、行使価額が1株100円のストックオプションを持っているとします。このとき、株価が300円になれば、1株あたり200円分の価値が生まれます。一方で、株価が120円までしか上がらなければ、価値は20円分にとどまります。
つまり、ストックオプションから得られる報酬の結果を決めるのは、株価の高さそのものではなく、「行使価額との差」です。株価が上がったかどうかだけを見ていると、実態を見誤りやすくなりますので注意しましょう。
株価が上がらなかった場合はどうなる?
もし株価が行使価額を超えなかった場合は、ストックオプションを行使する必要はありません。株を買う義務はないので結果として、得も損も発生しません。
ここが、株を直接買う場合との大きな違いと言えます。株を買っていれば、株価が下がれば含み損が出ますが、ストックオプションでは「使わない」という選択が残されています。
「リスクがない制度」ではない理由
金銭的な損失が出にくいと聞くと、「リスクがない制度」と思われがちです。しかし、リスクがゼロというわけではありません。ストックオプションのリスクは、「期待していた報酬が得られないこと」です。
株価が上がらなければ、どれだけ長く働いても、結果として報酬はゼロになります。これは、現金給料やボーナスとは性格の異なるリスクです。時間や労力に対して、必ず報われるわけではないことは覚えておいてください。
誰がどのリスクを負っているのか
ストックオプションでは、会社と個人が異なるリスクを負っています。会社は、成果が出なければ現金を支払わずに済みます。一方、個人は、成果が出なければ報酬を得られないというリスクを負います。ただし、個人が負うのは「マイナス」ではなく、「プラスが得られない可能性」です。
「儲かる制度」と思い込まない
ストックオプションがあると、「将来大きく儲かるかもしれない」と期待してしまいますよね。しかし、制度があることと、実際に利益が出ることは別の話です。ストックオプションは、確実な報酬ではなく、成果に連動する報酬と捉えることができます。
大切なのは、「どんな条件で得が出るのか」「得が出なかった場合、どうなるのか」を理解したうえで受け取ることです。ここを押さえておけば、過度な期待や失望を防ぐことができます。
・ストックオプションで得が出るのは行使価額を超えたとき
・株価の「高さ」ではなく「差」が重要
・株価が上がらなければ使わなくてよい
・金銭的な損は出にくいが、報酬がゼロになる可能性はある
・確実な報酬ではなく、成果連動型だと理解する