AI一服、相場は調整しても物色には広がり

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生の株式相場プレイバック」。今回は、前月から一転して調整した7月の日本株市場を、物色の変化に注目しながら振り返ります。

カエル先生の一言

7月の日本株市場は、AI・半導体関連の株価が下落し市場全体も調整するなか、別の業種や銘柄が買われる動きも散見されました。AI・半導体関連は、業績予想に大きな変化がない一方で、株価が先行して上昇していた反動もあるようです。今回は、物色の変化に見られた2つの動きを軸に7月相場を振り返ります。

7月の日本株市場

7月の日本株市場は軟調な展開となりました。

6月下旬に広がったAI投資や半導体需要の持続性に対する懸念が継続し、海外の半導体関連株の下落も重なって投資家心理が慎重寄りに変化。中旬には韓国半導体株の急落が市場全体の重しとなり、高値圏にあった日本の半導体関連株にも利益確定売りが広がりました。

日経平均株価の7月31日の終値は6万4362円、前月末比5700円(8.1%)安となりました。

市場で修正されたのは業績ではなく期待

7月相場の調整を一言で表すと、「業績より期待の修正」だったと言えそうです。

AIやデータセンター投資の成長シナリオそのものが否定されたわけではありません。しかし市場は、これまでのように期待だけで買い進む局面から、実際の利益成長を確認しながら評価していく段階へ移りつつあるようです。

実際、下のチャートのように年初以降の東証33業種電気機器の株価指数と予想EPS(1株当たり利益)の推移をみると、7月の株価指数は下落傾向が強まりましたが、その一方で予想EPSは大きく崩れてはいません。

つまり、企業の利益見通しが悪化したというよりも、それまで織り込まれていた成長期待が少し落ち着いた結果、株価が調整したと考えられます。

7月相場で進んだ2つの動き

AI関連株の勢いが一服するなか、市場では2つの物色の動きが進みました。

一つは「セクターローテーション」です。セクターローテーションとは、投資資金がある業種から別の業種へ移動する動きです。

下のチャートは、東証33業種を対象に、今年の4月から7月に年初来高値をつけた主な業種の株価推移を見たものです。5月に非鉄金属、6月初旬に情報・通信業、同下旬に電気機器が高値をつけた後、7月に入ると、銀行業、輸送用機器が上昇しています。

データセンター、AI、半導体関連が順に買われ、いったん高値をつけ調整が進むなか、銀行や自動車などが出遅れ修正や見直し買いで上昇しており、物色の選別と主役が次々に入れ替わった動きを示しているといえるでしょう。二つめは「リターンリバーサル」です。リターンリバーサルは、それまで大きく上昇していた銘柄が一服し、出遅れていた銘柄が見直される動きです。

下のグラフは、上のチャートと同様に、東証33業種を対象に、今年4月から6月の騰落率上位各3業種の7月の騰落状況を見たものです。

4月から6月の上昇率トップ3業種だった電気機器、ガラス・土石製品、非鉄金属は、7月には下落に転換。反対に、下落率トップ3業種の鉱業、石油・石炭製品、海運業は、上昇に転じています。

リターンリバーサルは、株価が上昇した銘柄はいずれ下落し、下落した銘柄は上昇することが多いという経験則を踏まえたもので、「逆張り」が物色の切口の一つになったと考えられます。

「セクターローテーション」も「リターンリバーサル」も株価の“好不調”や“強弱”の「循環」を示しており、今後も繰り返し相場の物色の中に出てくると思われます。

8月相場の注目点

8月以降は、企業業績が市場予想に見合うペースで拡大しているかが改めて確認されそうです。また、AI投資の継続性や国内政策の具体化なども注目材料になるでしょう。相場の方向性というよりも、「どの業種が主役になるか」が引き続き焦点となりそうです。

注目テーマは「国策関連」

8月相場を象徴する投資テーマとして注目したいのは「国策関連」です。

政府が7月に閣議決定した「骨太の方針2026」では、防衛力強化や技術投資、産業競争力向上などが盛り込まれました。2040年度までに累計370兆円超の官民投資が想定されています。こうした政策期待は、AI・半導体だけに集中していた市場の関心を広げる材料として注目されています。

AI相場が終わったということではなく、AIに加え、政策・消費・コンテンツなどを含む広がりのある相場の展開が期待されます。「国策関連」に注目してみてはいかがでしょうか。
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