株式市場で「円高メリット」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は3.5%と、東証株価指数(TOPIX、1.8%高)を上回りました(8月7日までの5営業日の騰落)。関連する5銘柄について解説します!
日米協調介入をきっかけに急速な円高・ドル安が進行
円高メリット関連株が上昇したきっかけは、外国為替市場で急激に進行した円高・ドル安です。
1998年のアジア通貨危機時以来28年ぶりとなる円買い介入により円は一時155円台まで急騰しました。
これまでの日米当局による協調介入は、金融危機や自然災害の発生時などに限定されていました。今回は対ドルの円相場が7月下旬に1ドル=164円に迫り、約40年ぶりの歴史的な安値水準に下落。円安の阻止で思惑が一致したとみられています。
海外からの輸入コスト低下を通じて業績改善が期待される小売り企業などの「円高メリット」銘柄に投資家の資金が向かいました。

円高メリットの象徴【ニトリHD】
上昇率首位は家具チェーン大手の「 ニトリホールディングス 」です。自社で企画から販売までを手がける同社は、海外の委託工場からの輸入比率が高いビジネスモデルです。そのため、円高進行は仕入れコストの直接的な抑制につながり、利益率の改善に直結します。株式市場では代表的な「円高メリット株」と認識されており、大幅な株価上昇につながりました。
「100円均一」維持に強力な追い風【セリア】
上昇率2位は100円ショップ運営の「 セリア 」です。業界内で「全品100円」の価格帯を守り続ける同社にとって、円安による仕入れコスト増は大きな収益圧迫要因となりますが、今回の円高進行で採算悪化の懸念が後退しました。また、既存店売上高の好調を背景に2026年4~6月期決算が大幅な増収増益となったことも評価されました。
海外生産・輸入コスト低下で収益改善期待
作業服大手の「 ワークマン 」は高機能・低価格な作業服やプライベートブランド(PB)衣料の多くを海外工場で生産しているため、円高進行に伴う輸入コストの低下が業績の下支えになるとみられています。
業務スーパー運営の「 神戸物産 」は、世界各国から自社直輸入商品を豊富に取り揃えています。円高進行によって輸入価格が下がることで利益率向上や価格訴求力の強化が見込まれます。
靴チェーン大手の「 エービーシー・マート 」は海外のナショナルブランド商品や自社ブランドの靴や衣料などを多く輸入・販売しており、円高は調達価格の抑制につながります。
日米の金融政策次第で円高傾向が続く可能性も
日本単独の「円買い介入」では、外貨準備を取り崩して原資に充当するため限度がありますが、米国は自国通貨が買い入れ対象なので理論上は無限に介入できます。そのため協調介入のインパクトは大きく、円高・ドル安傾向が続く可能性があります。
日米の金融政策を巡る動きも円高要因となる可能性があります。米労働省が8月7日に発表した7月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が市場予想に反して前月比で減少。これにより米経済の減速が意識され、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測がやや後退しました。
さらに、ベッセント米財務長官が日銀による早期利上げを要望していると伝わり、日銀の利上げペースが加速するとの観測が高まっています。円安に長らく苦しんできた円高メリット銘柄の転機が近づいているのか、円相場から目が離せません。