AIの活用に広がり サービス向上で収益けん引

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AI(人工知能)は、社内の業務効率化だけでなく、顧客向けサービスの質を高める技術として存在感を強めています。人材サービス大手リクルートホールディングス(リクルートHD)を中心に各社の動向をご紹介します。

リクルートHDのAI活用求人広告が進化

8月7日、「 リクルートホールディングス 」が、2027年3月期第1四半期の決算発表で、通期の連結業績予想を上方修正しました。業績上振れをけん引したのは米求人検索サイト「Indeed(インディード)」を中心とするHRテクノロジー事業です。

インディードで好調なのは、AIを活用して求職者に求人情報を届ける有料求人広告「スポンサー広告」。2025年秋に従来の「スタンダード」に加え、「プレミアム」の提供を始めました。

プレミアムは、応募要件を分析して必要なスキルを持つ候補者に求人情報を配信。企業側から応募を促すアプローチも可能にするなど、より高度なマッチング機能を備えています。

米国では、プレミアムスポンサー広告を利用した場合、無料求人と比べて採用までの期間が約50%短縮されたとの実績があります。

スタンダードより単価が高いものの、採用精度の向上や採用活動の効率化につながることから利用が拡大しています。

同社は、米インディードにおける1求人当たりの平均広告単価を示す「ARPJ(Average Revenue Per Job)」が2027年3月期に前期比30%増加すると見込んでおり、単価上昇が利益拡大に貢献するとみています。

AI活用は業務改善からサービス向上へ用途拡大

企業のAI活用は当初、事務作業の自動化や効率化などで社員の生産性を高めることから始まりました。現在は蓄積したデータを分析し、自社サービスの機能や品質を高める用途にも広がっています 。

顧客向けサービスの質が高まれば、他社との差別化につながり、価格設定の自由度も高まります。その結果、収益の拡大が期待されます。

企業のAI活用とは

・AI活用は、社内業務の効率化や生産性向上で成果
・ただし、効率化によるコスト削減だけでは成長には限界
・今後は、顧客向けサービスの向上など活用領域が拡大
・サービスの向上は差別化や単価上昇を通じて収益拡大を後押し

各社AI活用で顧客向けサービスを進化

リクルートHD以外にも、多くの企業がAIの活用を通じ顧客向けサービスの質を高める動きを進めています。

「 メドレー 」は、AIを活用した電子カルテを投入予定。2027年1月以降に提供予定の「MALL(モール)」は、システム設計の段階からAI活用を前提とした電子カルテです。医療現場の事務負担を軽減し、サービスの拡充を目指します。

「 SHIFT 」は、AIによるソフトウエアの品質チェックを推進。2月に提供を開始した「AIテストエージェント」は、従来は人手中心だったソフトウエアの品質チェックをAIが自律的に実行するサービスです。24時間365日稼働し、品質リスクの早期発見やテスト期間の最大80%短縮を実現するとしています。

「 Sapeet 」は、AIによるノウハウの可視化で業務効率化を支援。ベテラン社員の経験や判断をAIで再現するサービスを展開しています。営業活動では成約パターンを分析し、担当者の経験に左右されにくい再現性の高い営業手法の実現を後押しします。 

「 トレンドマイクロ 」はサイバーセキュリティ製品に他社AIを活用。6月、同社の法人向けサイバーセキュリティ製品「TrendAI」に米アンソロピックのAIモデル「クロード・ミュトス」を活用すると発表しました。従来型のAIと比べシステムの脆弱性を見つける能力が高いとされるミュトスを活用し、ソフトウエアを解析して脆弱性をすばやく改善することにつなげます。

AIは社内の業務の効率化だけでなく、顧客向けサービスの品質向上などに活用され始めています。こうした取り組みが収益拡大につながるかどうか、各社のAI戦略に注目が集まりそうです。