株式市場で「肥料」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は4.8%と、東証株価指数(TOPIX、3.5%)を上回りました(8月14日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
収益拡大や業績見通しの上方修正が相次ぐ
「肥料」関連株が上昇したきっかけは、関連企業の好決算の発表です。
肥料は中東地域が一大生産地として知られ、代表的な原料である尿素の世界輸出量は中東が4割弱を占めています。
その中東を巡っては、米・イスラエルがイランへの攻撃を開始した2月下旬以降、ホルムズ海峡が閉鎖され、肥料の供給への警戒感が上昇。
肥料の供給不足の懸念から、販売価格の上昇を通じて肥料関連企業の業績への寄与の思惑が広がっていました(『ホルムズ海峡封鎖で安定供給へ懸念 「肥料」関連株が上昇』)。
肥料の価格が依然として高止まりする中、8月上旬から中旬にかけて発表された関連企業の決算では、収益拡大や業績見通しの上方修正が相次ぎました。未発表企業への業績期待も相まって、関連銘柄が上昇しました。
26年1~6月期の純利益進捗率は98%【OATアグリオ】
上昇率首位の「 OATアグリオ 」は、農薬や肥料の販売、農業資材の開発・販売に力を入れています 。
農薬は除草剤や殺虫剤を展開、肥料は養液栽培用の「OATハウスシリーズ」、農業資材は植物や土壌に直接働きかけることで、植物が本来持っている免疫力を引き出す「バイオスティミュラント」(BS)などを取り扱っています。
10日に発表した2026年1~6月期連結決算では、国内外での農薬、肥料・BS販売の好調な売り上げ推移が貢献し、売上高は前年同期比14%増、純利益が34%増と、大幅な増収増益を達成しました。26年12月期通期計画に対する進捗率は、売上高58%、純利益が98%と好調で、業績見通しの上方修正も期待できそうです。
化学肥料のパイオニア【多木化学】
上昇率2位の「 多木化学 」は1885年に創業し、日本で初めて人造肥料の開発に成功した化学肥料のパイオニアとして知られています。
同社は6日、26年12月期の業績見通しが従来予想を大幅に上回り、純利益が前期比7%増の35億円(従来予想は19%減の26億5000万円)になりそうだと発表しました。
中東情勢の長期化などを受けた原料価格の上昇により、肥料の駆け込み需要が発生しており、販売数量が当初予想を上回る見込みです。期末配当予想の増額も発表し、投資家からの関心を集めています。
半導体材料や農薬も
「 住友化学 」は、農薬や肥料のほか、フォトレジストなどの半導体用材料も手掛ける総合化学メーカーです。4日に発表した26年4~6月期決算では、最終損益が407億円の黒字となり、前年同期(45億円の赤字)から劇的な黒字転換を果たしました。業績全体は堅調だったものの、半導体材料を含む事業が振るわなかった影響で、株価は一時急落しました。しかし、投資家の押し目買い意欲は強く、その後株価は7日連続で上昇しました。
「 日産化学 」は、日本初の化学肥料会社として設立されました。農業化学品部門以外では半導体材料の売り上げが年々増加しており、7日に発表した26年4~6月期連結決算では機能性材料セグメントが好調に推移しました。売上高は前年同期比13%増の787億円、純利益は21%増の168億円となりました。
「 クミアイ化学工業 」は農薬の開発・販売を手掛ける化学メーカーです。子会社を通じて特殊肥料の販売を行っています。
化学技術を生かした事業多角化に注目
今回取り上げた企業のように、肥料メーカーの多くは、化学に関する独自の技術力を背景に半導体材料や高機能化学品、医薬品分野などへと多角化を進めています。
例えば住友化学は、iPS細胞を用いたパーキンソン病治療薬の開発などで関心を集めたこともありました(『iPS細胞が実用化段階へ 国内申請相次ぎ 再生医療へ道』)。業績の確認や投資判断においては、こうした周辺事業の進捗や収益性にも着目することが重要となってきそうです。