株式市場で「海運」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は8.2%と、東証株価指数(TOPIX、3.1%安)に対して逆行高となりました(8月21日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
運賃上昇で更なる業績拡大期待
海運関連株が上昇した背景は二つの動きをきっかけとした運賃上昇の思惑です。
一つはパナマ運河の通航制限。パナマ運河庁は20日、運河流域の降水量減少を受けて通航制限を設けました。降水量の減少は、世界規模で異常気象をもたらす「エルニーニョ現象」の影響も考えられるようです。1日の運航便数の減少で船舶の待ち時間が増え、海運運賃の上昇が意識されました。
もう一つは中東情勢の緊迫化。トランプ米大統領は17日、ホワイトハウスで記者団に戦闘終結に向けた覚書の延長は求めない考えを示したとの報道がありました。ホルムズ海峡の航行正常化への期待が後退したことで、原油価格の上昇や海上輸送にかかる日数の延長により、運賃が上昇する可能性が高まりました。
海運運賃上昇の思惑は海運企業の収益押し上げ期待となり、海運株の買いにつながりました。

船舶を保有・貸し出し【明海グループ】
上昇率首位の「 明海グループ 」は運行会社に船舶を貸し出して運航する船舶保有業や船舶管理業を手掛けています。
船舶保有業は2026年3月期の売上高の約8割を占める主力事業です。他にもホテル関連事業や不動産事業、保育・介護事業など幅広いビジネスを展開しています。
足元の業績は売却した船舶の稼働減や入渠隻数の増加による費用増などが重荷となっていますが、中東やパナマ運河の別ルート向けの船舶の貸船需要が高まれば稼働率の改善が期待できそうです。
エネルギー事業の割合高い【商船三井】
上昇率2位の「 商船三井 」は大手海運3社の1つで、資源や化学製品、工業製品など様々な貨物の輸送を手掛けています。
鉄鉱石や石炭を梱包せずに運ぶドライバルク(ばら積み)船や原油や石油製品、液化天然ガス(LNG)などを運ぶタンカーなどを運航しています。他の海運大手よりもエネルギー事業の割合が高いのも特徴です。
原油タンカー主体の企業も
「 川崎汽船 」も大手海運3社の1つで、ばら積み船や自動車船、タンカーを運航しています。鉄鋼原料や自動車、LNG輸送船事業に経営資源を集中させて成長を目指しています 。
「 日本郵船 」も海運3社の1つで、陸上輸送や空運など総合的な物流に強みがあります。
「 共栄タンカー 」は大型オイルタンカー(VLCC)の長期の貸船契約を主体としています。
いずれの企業も海運運賃の上昇が業績の追い風になると期待されています。
市況は大手3社とも予想上回る
海運大手の日本郵船と川崎汽船、商船三井の3社は7月末から8月初旬にかけてそろって27年3月期の業績見通しを上方修正していました。運賃の上昇など市況の追い風が実際に好業績につながるとの安心感が投資家の買いを後押ししたとの見方もできそうです。
海運は地政学リスクの影響が反映されやすく、スエズ運河につながる紅海の治安悪化で運賃が上昇した過去もあります(『海上運賃に上昇観測 「海運」関連株が上昇』)。外部環境の影響で業績が上下する可能性が高いため、日々のニュースで最新動向を慎重にチェックして、投資判断に役立てたいですね。