メディア再編が加速 広告・配信力で成長競う

フォーカス!押さえておきたいテーマと企業(米株編)/ QUICK

メディア業界で、事業モデルの見直しや事業の再編を進める動きが加速しています。豊富なコンテンツと会員基盤を武器に新たなサービスを展開するネットフリックスを中心に、各社の動向をご紹介します。

ネットフリックス、広告付きプランを世界各国に拡大

ネットフリックス(NFLX)は5月、2027年からオーストリア、ベルギー、インドネシア、タイなど15ヵ国で「広告付きNetflix(ネットフリックス)」のサービスを開始すると発表しました。

同サービスは、月額料金を抑えた視聴プランで、展開エリアの拡大は先行して開始した日米英など12ヵ国に続くものです。

同社にとって、価格に敏感な視聴者に訴求することが期待できる一方、既存会員が低価格のプランに移行すれば、会費収入を押し下げる可能性もあります。

それにも関わらず、エリアの拡大を進める狙いには、広告掲載機会の拡充を通じて広告主を取り込み広告収入を増やすことが挙げられます。

同社の有料会員は、2025年末時点で3億2500万人超。広告付きプランの月間ユーザーは2026年5月時点で2億5000万人以上にのぼり、そのうち80%以上が毎週コンテンツを視聴しています。

この会員基盤は、広告主にとても大きな魅力です。広告付きプランの視聴者層が広がるなか、2026年1~3月期決算の発表時点で広告主は4000社超と前年比で7割増えました。同社は26年の広告収入が25年比で倍増の約30億ドルに達すると見込んでいます。

同社は、有料会員数の増加に加え、広告など新たな収益源を伸ばし、収益構造の多角化を進めています。

大手メディア各社、事業再編など経営戦略の動き

・ネットフリックス  ⇒ 広告やライブ、ゲームなど収益源を多角化

・ディズニー     ⇒ 強力なブランド力を武器に無料動画配信で顧客獲得を検討

・フォックス          ⇒ ロク買収で独自コンテンツとデジタル配信基盤などを融合

・パラマウント       ⇒ ワーナー買収による規模拡大でコンテンツ力など強化

・コムキャスト    ⇒ メディアと通信を分離。動画配信など成長分野に資源集中

動画配信サービス事業を強化

競合他社もさまざまな事業を展開しています。その一つが動画配信サービスの強化です。

ウォルト・ディズニー(DIS)は8月、決算説明会で同社の有料動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」に関して、新たに広告付き無料配信サービスの導入を検討していることを明らかにしました。

同社は、競合他社と比べて広告枠の販売が好調で、広告在庫を増やせば広告収入の成長を加速させることにつながると指摘。無料配信サービスの導入により新たな顧客層の獲得と広告事業の成長を目指します。

フォックス(FOX)は6月、動画配信プラットフォームを手がけるロク(ROKU)を買収すると発表しました。

狙いは、フォックスのスポーツやニュースなどのコンテンツと、世界1億世帯超に届くロクの配信基盤、視聴データ、広告機能を組み合わせ、配信・広告事業を強化することです。

買収完了後は、フォックス傘下の「Tubi」と「ロクチャンネル」を抱える大規模な広告型動画配信事業が誕生する見通しです。

買収や分社化など事業再編で収益力強化も

事業再編による収益力強化の動きも活発化しています。

パラマウント・スカイダンス(PSKY)は2月、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)を買収すると発表しました。

買収が完了すれば、両社の映画・テレビコンテンツや動画配信基盤を組み合わせ、加入者数の増加やエンゲージメントの深化につなげるとともに、統合による相乗効果で収益力の向上を目指す考えです。

コムキャスト(CMCSA)は6月、メディア部門のNBCユニバーサルと、通信部門のコムキャストの2社に分社化する計画を発表しました。

NBCユニバーサルは分社化によって動画配信事業の成長加速を目指しています。その戦略の一つが7月に発表したYouTubeとの提携です。

2027年初めから、米国で「Peacock Premium」を「YouTube Premium」とセットで提供。加入者はYouTube上で、NBCやユニバーサルの番組・映画、NFLやNBAなどのスポーツ中継を視聴できるようになります。

各社の戦略は、コンテンツの充実だけでなく、広告収入の拡大、配信基盤の確保、買収や分社化など、多様化しています。会員数だけに頼らず、保有するコンテンツをどのように収益へ結び付けるかが、今後の競争力を左右しそうです。