株式市場で「自動運転」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は2.8%と、東証株価指数(TOPIX、1.0%安)に対して逆行高となりました(9月4日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
トヨタが高度な運転支援技術を導入へ
自動運転の関連株が上昇したきっかけは、トヨタ自動車の自動運転に関する報道です。
各メディアによると、8月27日、トヨタ自動車は2028年から一部の個人向けの乗用車に自動運転(高度な運転支援機能)を搭載すると明らかにしたとのことです。
自動運転は一般的に1から5の5段階のレベルに分けられ、現在の国内における自動運転は、状況により運転手による操作に切り替える「レベル2」程度が主流と言われています。
トヨタ自動車は、運転手がほぼ操作せずに走行する「レベル2++」の技術の内製化を目指す模様です。なお、国土交通省によると、「レベル2++」は、ドライバーが乗り、周辺を監視したうえで、ドライバーの関与をほぼ必要としない高度な運転支援をするレベルと位置づけられています。
需要拡大が期待される自動運転関連銘柄のうち、特に自動運転システム開発を手掛ける銘柄に思惑的な物色が向かいました。

自動運転向けソフトを開発【ティアフォー】
上昇率首位の「 ティアフォー 」は自動運転用ソフトウエアの「Autoware(オートウェア)」を開発しオープンソースで提供しています。地方自治体などに自動運転車両の販売や導入、運行、保守を一貫して支援しているほか、自動車メーカーの自動運転技術の内製化支援や共同開発も手掛けています。
トヨタ自動車は、グループのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)であるトヨタ・インベンション・パートナーズが、ティアフォー株を自己株式を除く発行済み株式総数の1%を保有。シャトルバスとしても使える電気自動車(EV)「e-Palette(イーパレット)」の自動運転システムを共同開発しています。他の出資者にはヤマハ発動機やいすゞ、スズキなどがあり、今後トヨタ以外でも自動運転システムの内製化が進めば同社の収益拡大も期待できそうです。
3Dマップを提供【ダイナミックマッププラットフォーム】
上昇率2位の「 ダイナミックマッププラットフォーム 」は自動運転向けの3次元(3D)地図データを整備し販売しています。高速道路の渋滞時などに運転手に代わって運転する「レベル3」の自動運転を搭載した本田技研工業の「レジェンド」にデータを提供した実績があります。自動運転技術におけるAI(人工知能)の活用に関しても3Dマップなどのデータが貢献するため、同社のデータへの需要拡大には期待できそうです。
システム関連の上昇目立つ
「 フィーチャ 」は画像認識システムを手掛けています。車外の情報を検知する先進運転支援システム(ADAS)や運転者の状態を監視するドライバーモニタリングシステム(DMS)、同乗者の状態を監視するオキュパントモニタリングシステム(OMS)などを展開しています。
「 アイサンテクノロジー 」は創業から培った測地技術を活用し3Dマップを作成しており、ティアフォーなどとの提携を通じて自動運転の導入を支援しています。
「 セック 」はセンサーなどをリアルタイムで情報処理をするシステムに強みがあり、自動運転システムや高度道路交通システム(ITS)を手掛けています。
いずれの企業も自動車メーカー各社が自動運転の導入を進めれば、成長に追い風となるでしょう。
高齢化や物流の効率化への対策としても注目
経済産業省と国土交通省は、2021年度から2025年度まで、「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」を推進。レベル4の自動運転サービスの実現や普及に向けた技術開発、実証、社会実装に取り組みました。
高齢化や生産年齢人口の減少が一段と進む2040年ごろを見据え、高齢者の移動手段の確保や、交通・物流の効率化に向けた解決策として、自動運転への期待が高まっています。
一方、自動運転のシステム関連株は短期の投機的な売買の対象とされている面もあり、値動きの荒さには注意が必要です。長期目線での需要拡大のペースなどを予想した投資を意識しつつ、日々のニュースで最新動向をチェックして投資判断に役立てたいですね。