市場マインドは、AI不透明感から業績安心感へ

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部 、 平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生の株式相場プレイバック」。今回は、好決算への好感と金利上昇への警戒が交錯した8月相場を振り返り、9月の物色先を探ります。

カエル先生の一言

8月の日本株市場は、好調な企業業績を支えに持ち直す一方、世界的な金利上昇への警戒から急落する場面もあるなど値動きの大きな展開でした。AI・半導体関連株の不安定さが続くなか、市場の視線は非AI関連や好業績の出遅れ銘柄にも拡大。期待先行だった相場から、利益成長を確かめて選ぶ相場へ移りつつあるようです。

8月の日本株市場

8月の日本株市場は、好決算が相場を支える一方、金利上昇への警戒が株価を揺らす展開となりました。

上旬は円高への警戒から輸出関連株が売られたものの、米半導体株高や中東情勢を巡る期待が追い風に。5日には日経平均が2300円以上上昇し、AI・半導体関連株を中心に買い戻しが広がりました。

中旬は国内企業の好決算を受け、日経平均が6万9000円台を回復。TOPIXも過去最高値を更新しました。日米協調介入で進んだ円高が一服し、円安方向へ戻ったことも日本株の押し上げ材料となりました。

その後は世界的な金利上昇への警戒から、米ハイテク株と日本株が急落。日経平均は18、19日の2日間で4000円近く下げました。月末にかけては様子見ムードが強まる一方、TOPIXは31日まで8営業日連続で上昇しています。

8月末の日経平均株価は6万6311円となり、前月末比1949円高、3%上昇しました。

手がかりは「期待」から「業績」へ

7月の相場は、AI投資の持続性に対する懸念から半導体関連株が調整。下落の理由としては、利益見通しが大きく崩れたというよりも、株価に織り込まれていた成長期待への修正が背景にありました。

8月は、前月末からスタートした決算発表で2026年4−6月期実績が市場予想を上回るなど好業績を確認。予想EPS(1株当たり利益)も上昇基調を継続し、TOPIXの先行きに対する安心感につながりそうです。

8月の変化は単なるAI株の復調にとどまらず、市場の関心が「将来への期待」から「確認できた業績」へ移り、AI関連と非AI関連の双方を選別する流れが強まったと考えられます。

アナリスト予想の方向性に焦点

9月は引き続き、企業業績の動向が注目されます。アナリストによる業績予想の方向性を示すリビジョン・インデックスは、好調な第1四半期決算を受けて上昇傾向にあります。

上方修正は電気機器や機械だけでなく、食料品やその他製品にも拡大。好業績にもかかわらず株価が出遅れた業種では、利益予想の引き上げをきっかけに見直し買いが入る余地もありそうです。

今後は、指数全体の上昇以上に「どの企業の利益予想が上向くか」が焦点になると考えられます。AI・半導体関連と非AI関連を問わず、業績改善の確度が物色を左右する局面が予想されます。

日銀の利上げ観測に目配り

一方、日本株市場を取り巻くマクロ環境で注目したいのは、日銀の追加利上げです。7月会合の「主な意見」では、物価上振れへの警戒や、早期の政策金利引き上げを検討する考えが示されました。

国内の10年物国債利回りは約30年ぶりの水準に上昇。金利上昇は銀行の貸出利ざやや運用収益の改善につながる半面、成長期待の高い株式には割高感を意識させる要因にもなります。

日銀の利上げ時期が前倒しされるかどうかで、業種ごとの明暗が分かれる可能性も。9月は株価だけでなく、国内金利の動きにも目配りが必要でしょう。

投資テーマは「出遅れ好業績銘柄」

9月相場の投資テーマの一つとして、好業績ながら株価が出遅れている銘柄の見直し買いが挙げられます。

第1四半期決算では、前年同期比で増益となり、市場予想を上回る企業が相次ぎました。通期会社計画に対する利益の進捗も、おおむね順調です。

決算実績が市場予想を上振れたものの、株価が相対的に出遅れている銘柄は見直し買いが期待されます。「出遅れ好業績銘柄」として注目してみてはいかがでしょうか。

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