株式市場で「旅行」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は0.8%と、東証株価指数(TOPIX、1.8%安)に対して逆行高となりました(9月11日までの5営業日の騰落)。その背景と関連銘柄について解説します!
シルバーウィーク控え高まる期待感
「旅行」関連銘柄が買われたきっかけは、外国為替市場での円高・ドル安の進行です。
1ドル=160円前後だった円相場は、9月に入ると円高・ドル安方向に大きく動きました。背景には、日銀の利上げ観測の高まりや、日米当局が円安是正に動くとの思惑があります。
ベッセント米財務長官が、日本による市場・金融政策上の対応を支持する考えを相次いで示したことも、円買いを促す要因となりました。9月2日には、日銀の高田創審議委員が講演で、利上げペースの加速や利上げ幅の拡大を示唆しました。
これらの発言を受け、市場では日銀が9月会合で利上げを実施するとの観測が急速に高まり、円高・ドル安が進展。8日には半年ぶりの水準となる1ドル=152円まで、円が急騰しました。
円高が進むと、海外での買い物や宿泊などにかかる円換算の負担が軽くなり、海外旅行に出かけやすくなると期待されます。
9月19~23日のシルバーウィークを控えるなか、こうした円高の進行などが海外旅行のツアーなどを取り扱う企業の業績に寄与するとの期待感が追い風となり、「旅行」関連銘柄に買いが集まったようです。

「トラベルコ」運営、顧客から高い評価【オープンドア】
上昇率首位の「 オープンドア 」は国内外の旅行商品やツアーなどを1500以上のサイトから比較できる旅行比較サイト「トラベルコ」を運営しています。同サイトは、2026年オリコン顧客満足度調査の「ホテル比較サイト」ランキングで3年連続総合1位を獲得するなど、高い評価を受けています。
2014年には、人間国宝を含む約2000人の工芸作家の作品を紹介・販売するオンラインギャラリーサイト「ギャラリージャパン」をオープン。新たな収益源の獲得に努めています。
強固な顧客基盤でクロスセルを推進【アドベンチャー】
「 アドベンチャー 」は航空券やホテル、レンタカーなど15以上の旅行商品を予約できる総合旅行サイト「スカイチケット」を運営しています。
今年7月には、同サービスのスマートフォンアプリが累計2500万ダウンロードを超えたと発表。強固な顧客基盤を生かし、関連サービスのリピート利用やクロスセルを進め、顧客単価の向上を目指しています。
多様なアプローチで需要を取り込み
「 LINEヤフー 」は検索ポータルサイトの運営やインターネット広告、EC(電子商取引)など多様な事業を展開する日本最大級のインターネット企業です。オンライン旅行サイトの「Yahoo!トラベル」や子会社が運営する「一休.com」を通じて旅行事業を手掛けています。
「 ユーラシア 」は世界170カ国以上を対象に、「自然と人間と文明を見つめる旅」をテーマとしたパッケージツアーなどを提供しています。
原油高は逆風、国際情勢には注視を
旅行業は「平和産業」とも呼ばれます。紛争や感染症の流行などで旅先への渡航が制限されてしまうと、産業そのものが成り立たなくなるからです。
新型コロナウイルス禍で、国内・海外ともに旅行業界が大きな打撃を受けたことは記憶に新しいところです(https://froggy.smbcnikko.co.jp/45049/ )。
中東情勢が不安定化するなか、WTI原油先物価格は9月中旬に1バレル100ドル前後で推移しています。旅行業界にとっては為替だけでなく、国際情勢の不安定化に伴う原油価格の高騰も逆風です。航空運賃や燃油サーチャージの上昇を通じて旅行コストが高まり、旅行需要や企業収益に影響を及ぼす可能性があります。
旅行関連企業の業績を見るうえでは、国際情勢に加え、為替や原油価格の動向にも注意が必要です。