ニュースでよく耳にするものの、よくわかっていないインデックスについてお伝えする本連載。今回のテーマは、「お隣の国の株式インデックス」です。近頃、東京市場でも毎日のように話題になっているんです。
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韓国の代表的な株価指数KOSPI
KOSPI(韓国総合株価指数)は、韓国株式市場を代表する株価指数です。正式名称は「Korea Composite Stock Price Index」で、韓国取引所(KRX)のメイン市場であるKOSPI市場に上場する企業を幅広く対象としています。1980年1月4日の時価総額を100として算出される時価総額加重型指数で、企業規模が大きい銘柄ほど指数への影響も大きくなります。
KOSPIをより深く理解する前に、韓国の株式市場を日本市場になぞらえながら簡単に眺めてみましょう。韓国取引所は東京証券取引所のような存在です。東京証券取引所にはプライム、スタンダード、グロースという3市場がありますね。韓国取引所にもいくつかの市場があります。以下の通りです。
今回ご紹介するKOSPI指数は韓国取引所が算出しているインデックスの中でもっともよく知られているものと言っていいでしょう。
KOSPIは韓国版TOPIX
KOSPI指数を一言で表現するなら「韓国版TOPIX」です。KOSPI市場に上場している約830社の株式で構成されます。
ウエイト上位10銘柄は以下の通りです。同じような名前の企業が多いなぁと思われたのではないでしょうか。韓国経済の大きな特徴は、サムスン、SK、現代自動車、LGなどの「財閥(チェボル)」と呼ばれる巨大企業グループの存在感が非常に大きいことです。韓国は1960年代以降、政府が有力企業を支援し、輸出産業を育成することで急速な経済成長を実現しました。その中心となったのが財閥系企業です。ですから、財閥系企業が株式市場でも大きな存在感を持ちます。代表格のサムスングループは、半導体・スマートフォンのサムスン電子を中心に、バイオ、金融、建設、電子部品など幅広い事業を展開しています。SKグループはSKハイニックスを中心とする半導体、現代自動車グループは自動車、LGグループは電池や電子・化学分野で世界市場に進出しています。
値動きが日経平均に似ているから毎日話題になる
KOSPIは2026年に入ってから、日本の株式市場でも毎日のように話題になっています。その理由の一つは、日経平均株価と動きが似ているからです。約半年間のチャートを見ると、KOSPIの方が上下に激しい動きですが、上がったり下がったりの方向が似ていることがわかります。
KOSPIの動きが日経平均株価と似ている理由を構成銘柄に見出すことができます。こちらは日経平均株価のウエイト上位10銘柄です。アドバンテストや東京エレクトロンは半導体製造装置を製造販売している企業です。ソフトバンクグループは近年半導体やAI企業に多額の資金を投資しています。つまり、日経平均株価において大きなウエイトを占めているのは半導体関連企業です。
KOSPIのウエイト上位銘柄にも半導体やIT投資という言葉が見えましたね。KOSPIと日経平均株価も存在感が大きい企業の業種に共通点があることが、2つのインデックスの動きが似る理由と考えられます。
KOSPIの値動きの方が激しい理由
KOSPIと日経平均株価の動きが似る理由はおおむね理解できたものの、どうしてKOSPIの値動きの方が激しいの? と思ったかもしれません。その疑問の答えは構成銘柄の時価総額に見出すことができます。
1位、2位と3位以下ではケタが違います。KOSPIにおいて1位のサムスン電子と2位のSKハイニックスのウエイトの合計は50%近くになります。約830社で構成されるKOSPIにおいてたった2銘柄で50%近いわけですから、KOSPIの動きがこの2銘柄の動きに似るのは当然です。
かつて韓国の株式市場はサムスン電子の存在感が突出していましたが、2025年秋ごろからSKハイニックスの株価が大きく上昇しました。
SKハイニックスの株価が過去1年間で大きく上昇した理由は、生成AI向けの高性能メモリ「HBM(広帯域メモリ)」市場で高い競争力を確立したことです。AIサーバーに使われるGPUには大量のデータを高速処理できるHBMが不可欠で、世界的なAI投資の拡大とともに需要が急増しました。AI需要→HBM販売拡大→メモリ価格上昇→利益急増への期待が、株価を大きく押し上げたと考えられます。
そして、SKハイニックスの株価動向が日本の半導体製造装置企業やメモリ製造企業の株価にも影響を与えています。SKハイニックスがHBM増産や設備投資拡大を示唆すると、メモリ市況全般の回復期待が高まり、それに連動して日本の装置メーカーへの受注期待が強まるため、株価が同方向に動きやすくなります。逆に、SKハイニックスの見通しが弱含むと、設備投資サイクルの減速懸念から日本の関連株も売られやすくなります。このようにSKハイニックスは、単なる韓国企業の株価というより、グローバルな半導体投資サイクルの先行指標として、日本市場にも波及効果を持つ存在になっています。
というわけで今や日本株のインデックスの動きを左右する存在になりつつあるKOSPIですが、残念ながら円建てのETFも投資信託も限られています。隣の国なのに投資に関しては少し遠い国、韓国です。