旬な投資テーマをもとに、関連する国内外の企業を紹介する本連載。今回のテーマは「ドローン」です。かつては空撮や趣味のイメージが強かったドローンですが、今では戦争や物流の現場を変える存在に変化しています。その市場では今、何が起きているのでしょうか。
安価なドローンが戦争の常識を変えた
かつては、高性能な戦闘機やミサイルを持つ国が軍事的に有利と考えられてきました。
ところが近年、その常識が変わりつつあります。ウクライナなどでは、比較的安価なドローンを大量に活用する戦術が広がり、偵察や通信、攻撃などさまざまな役割を担っています。時には、ドローンがはるかに高価な装備に打撃を与えるケースもあり、その有効性に注目が集まっています。
こうした変化を受けて、世界各国ではドローンなどの無人装備の活用が進んでいます。高性能兵器に依存するのではなく、低コストで運用できるドローンを大量に配備する考え方が広がり、防衛装備の開発や調達のあり方にも変化が生まれています。
日米で進むドローン導入
ドローンが戦争のあり方を変えるなか、日本と米国では導入や運用体制の整備が進んでいます。
日本では、防衛省がドローンなどの無人装備を活用した沿岸防衛体制「SHIELD(シールド)」の構築を進めています。また、防衛装備庁は2026年6月、迎撃ドローンを短期間で調達する「迎撃ドローン早期取得プログラム」を開始しました。4機種の実証試験を経て、8月には「 テラドローン 」との量産調達契約を発表しています。
さらに、「 楽天グループ 」はドイツの防衛スタートアップ、ヘルシングと提携し、日本へのドローン導入を支援すると報じられました。こうした動きを背景に、国内のドローン市場にも期待が高まっています。
米国でもドローン活用を強化する動きが進んでいます。2026年6月には、米国防総省がドローンなどの無人装備を統括する新組織「DRPM-UxS」を設立しました。その背景には、無人装備の大規模運用で後れを取っているとの危機感があるとされています。
また、同省は10億ドル規模のドローン調達計画「Drone Dominance」を進めており、2027年までに20万機以上を調達する方針です。計画にはクレイトス・ディフェンス・アンド・セキュリティ・ソリューションズなども参加しており、関連企業への注目が高まっています。
ドローン競争の焦点はAIへ
ドローンの活躍の場は、防衛分野だけではありません。点検や測量、警備、物流など、さまざまな分野で活用が広がっています。
例えばアマゾン・ドット・コムは2026年8月、ドローン配送サービス「Prime Air」を年末までに米国の約500都市・町へ拡大すると発表しました。ドローンは、暮らしに身近なサービスとして拡大を続けています。
こうした普及を後押ししているのがAIです。これまでは飛行距離や積載量、カメラ性能など、機体そのものの性能が重視されてきました。しかし、ドローンを本格的なサービスとして活用するには、それだけでは十分ではありません。
例えば、複数のドローンを同時に飛行させたり、集めたデータをリアルタイムで分析したりするには、AIやソフトウェアの力が欠かせません。ドローンが取得した情報を活用し、機体を制御する仕組みが重要になっています。
こうした変化を象徴するのが、ドローン事業を手掛けるオンダスと、AI運用基盤を提供するパランティア・テクノロジーズの提携です。
ドローン業界では今、どんな機体を作るかだけでなく、複数の機体をどう管理し、データをどう活用するかが競争力を左右するようになっています。今後のドローン市場では、機体メーカーだけでなく、AIやソフトウェアを強みに持つ企業の存在感も高まっていきそうです。