株式市場で「サイバーセキュリティ」関連株が買われています。
QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は17.8%と、東証株価指数(TOPIX、0.3%)を上回りました。(10月9日までの5営業日の騰落)
株価が上昇した5銘柄と、その背景を解説します!
相次ぐ情報漏洩、攻撃へのAI悪用懸念も増大
関連銘柄が買われた背景には、大手企業による不正アクセス被害の公表が相次いだことがあります。
10月5日には、「焼肉きんぐ」を運営する物語コーポレーションが不正アクセスにより、約1078万件の顧客情報が漏洩したと明らかにしました。
また、シチズンは6日、業務委託先への不正アクセスで個人情報が約10万人分漏洩した可能性があると発表。
さらに、楽天グループも同日、クラウドストレージサービス「楽天ドライブ」のシステムで第三者による不正アクセスがあり、一部の顧客情報が閲覧されたと発表しています。
9月28日には、カーシェアリングサービスの「タイムズカー」を運営するパーク24が、最大で約660万件の情報漏洩が発生した可能性があると公表するなど、サイバー攻撃による大手企業の被害公表が相次いでいます。
日本経済新聞の集計では、9月以降国内で延べ5700万人分の個人情報が流出したとされています。
不正アクセス急増の背景にはAI(人工知能)の悪用の可能性が指摘されています。
一連の被害公表によりサイバー攻撃リスクの高まりが顕在化し、サイバーセキュリティの需要が急増するとの思惑から、関連銘柄の買いが膨らんだとみられています。

「フロンティアAI」への対応を強化【ブロードバンドセキュリティ】
上昇率首位の「 ブロードバンドセキュリティ 」は、IT(情報技術)セキュリティサービスに特化した総合プロバイダー企業です。
2000年創業で、長年の経験に裏打ちされた実績を強みとしています。
2026年6月期の決算説明資料では、「フロンティアAI(最先端の高性能AI)による脅威」を踏まえ、金融庁・日本銀行の要請に対応するサイバー攻撃の監視・検知・対応サービスを強化する方針を示しました。
情報漏洩IT対策が安定的な収益源として大きな割合を占めており、情報漏洩IT対策の受注残は全体の約7割を占めています。
9月以降の不正アクセスによる個人情報漏洩の増加は、更なる収益機会の拡大につながると期待されます。
「日本発のAIガーディアン」目指す【フーバーブレイン】
上昇率2位の「 フーバーブレイン 」は自社開発のソフトウエアを中心に、幅広いセキュリティ製品・サービスを提供しています。
不正アクセスやサイバー攻撃への対策を手掛けるほか、フィッシング詐欺や内部不正といった人的リスクを対象とした研修プログラムも提供しています。
2025年に発表した30年までの中期経営計画では、増加するAI由来のサイバー攻撃に対応するため「日本発のAIガーディアンを目指す」とのビジョンを掲げました。
AIの普及に伴うセキュリティリスクの増大を自社の成長機会と捉えています。
電子証明書から人材教育まで、広がるサイバー防衛
「 GMOグローバルサイン・ホールディングス 」は、インターネット上の「身分証明書」にあたる電子証明書を手掛ける企業です。
特に、Webサイト上でのなりすましを防ぎ、安全な通信を守る「SSLサーバー証明書」では、累計5000万枚以上の発行実績を有し、国内シェアトップを誇ります。
「 セグエグループ 」は、社員の7割以上がエンジニアという強固な技術力を背景に、機器販売からサポート契約まで一貫して手掛ける安定した収益モデルを強みとしています。
自社開発製品に加え、IT先進国からの仕入れ製品も含めた幅広いセキュリティ製品を取り扱っています。
「 グローバルセキュリティエキスパート 」は企業の従業員などに向け、リテラシー向上を支援するセキュリティ教育サービスを提供しています。
産業成長へ国も後押し
近年、サイバー攻撃は巧妙化・複雑化しています。
過去にも国内企業へのサイバー攻撃被害が相次いだ際、関連銘柄には大きな関心が集まりました。
(不正アクセス続発 「サイバーセキュリティ」関連株が上昇)
AIを悪用した攻撃に加え、量子コンピューターの実用化にともなうセキュリティリスクの増大も見過ごせません。
特に既存の暗号技術が解読・突破される懸念も高まっています。
国もサイバーセキュリティ産業育成に乗り出しています。
経済産業省が2025年3月に策定した「サイバーセキュリティ産業振興戦略」では、10年以内に国内関連企業の売上高を約0.9兆円から3兆円超へ引き上げる目標を掲げました。
こうした背景から、サイバーセキュリティ関連は一時的なテーマにとどまらない、中長期の成長テーマとして、市場の関心が続きそうです。