保険料を節約して投資し隊~ 3大固定費「保険」を見直す〜自分がどんな保険に入ってるのかを棚卸しせよ!

オレたち、お金のムダ省き隊!/ 日興フロッギー編集部

うっかり「やっちまっている」ムダを省けば、出費を抑えながらオイシイものを食べたり、趣味や旅行に回したり、将来に備えて投資したりがラクラク実現する! そんな夢をかなえるために新たに結成された「お金のムダ省き隊」。この連載では、お金のムダ省き隊の隊員たちが、“お金のプロ”にコストカットの秘訣・裏ワザを聞きまくります。
「携帯代を浮かして投資し隊~ 格安SIMへの乗り換えって本当にお得? 家計の中の埋蔵金を発掘せよ!」を読む

保険を見直すチャンスがやってきた!

ーーこんにちは、フロッギー編集部員および「お金のムダ省き隊」1号のS子です。先日、削るべきなのは住宅・保険・通信の「3大固定費」というお話を伺いました。そこで今回は、入っているものの実はよくわかっていない「保険」について切り込んでいきます。教えてくださるのは、ファイナンシャルプランナー・千﨑慶一さん。“手間をかけずトクすること”が大好物な隊員2号のC江と共に、いざ突撃!

S子

こんにちは、お金のムダ省き隊です。先日はクレジットカードを活用した節約テクニックを教えていただきありがとうございました。今回は”保険”についてご相談があってやってきました!

千﨑

はい、ようこそ。具体的にどういったお話なのでしょうか。

C江

先日、中村達矢FPに、家計で削るのは「3大固定費」からという話を聞きました。そこで通信費の削減に成功したのですが、「保険」って難しくて。今日まで延び延びになってしまいました。

千﨑

なるほど、いいタイミングでいらっしゃいましたね。実は最近、多くの生命保険会社が保険商品の保険料を見直して、保険料が下がっているんですよ。
これは保険料の基準となる「標準生命表」が2018年4月に11年ぶりに改定されたためです。

S子

おお! どう見直されたんですか? 平均寿命が長くなっているから、ものすごく安くなるんでしょうか。

千﨑

平均寿命が延びることは、生命保険の死亡保険金の支払いが減る要因になりますので、生命保険料の値下げ要因となります。
一方で、医療保険やがん保険の給付金の支払いが増える要因になりますので、それらの保険には値上げ要因となります。実際、年齢や性別、保障内容によって値上げと値下げが混在していますね。

C江

そういえば最近は、保険の種類も増えているように感じています。

千﨑

一つの商品で複数のリスクに対応できる「万能型」保険も多く登場しています。色々なリスクに備えることができる保険商品が増えたことで、ジャンルのボーダレス化が進んでいるのかもしれませんね。
ところで皆さんは、ご自身が入っている保険の内容をしっかりと確認していますか?

S子

確か、自分の死亡時に葬式代が出るやつと、夫名義で夫の死亡時に●千万円が払われるやつに入ってるはず。でもしっかり保障内容を把握しているかというと……。そもそも、この証書って見方がわからなくて。
(証書をお見せする)

千﨑

S子さん、今おっしゃったことと、証書に記載されている内容が違ってますよ(汗)

S子

え?! なんで? そんなバカな(愕然)!

保険を「人生で一番高い買い物」にしない!

千﨑

ちなみに、その保険に加入したのはいつ頃ですか? ご家族の生活スタイルなどに変化はありませんでしたか? 保険はその保障内容がご自身に合っているかが非常に重要です。ですから、見直しが絶対に必要です。また、場合によっては、皆さんが大好きな節約にもつながることがあるんですよ!

S子

ちゃんと説明を受けて理解したような気になって、これまでお金を払い続けている保険のことを実は何もわかっていなかったことが明らかになって……結構動揺しています。でも、節約になる話ならば、聞かねば。

千﨑

結婚や出産などの人生の節目で保険に入ったものの、時間や知識不足などを理由に一度加入した保障内容のままで保険料を払い続けるーー実は、大変損している可能性が高いです。「今の自分に、この保険が本当に必要か」と考えたことはありますか?

C江

そこまで深く考えたことがないかも……。

千﨑

商品によっては、高い保険料を月々払い続けるものもあります。保険は人によっては「人生で一番高い買い物」とも言われます。本当に必要な保険かどうかを今一度見直してみることをお勧めします。

「掛け捨て型は損をする」は本当?

S子

安い保険に乗り換える、という視点ではなく、自分に必要な保険かどうかを見直すべき、ってことですか。先生、保険を見直す際のポイントを、教えてください。

千﨑

分かりやすいポイントの1つとしては“掛け捨て型”か“積み立て型(貯蓄型)”があるかと思います。例えば、医療保険の加入を検討しているお客さまから「掛け捨て型と積み立て型のどちらが良いですか?」と聞かれます。簡単に説明すると、掛け捨て型は「月々の保険料が少なく、払った保険料は戻ってこない」、積み立て型は「月々の保険料は高く、満期を迎えるとお金がもらえる」と分けることができます。

S子

掛け捨て型って、病気やケガをしなかったら保険料がムダになるから、損が確定するようなイメージ

C江

最終的に戻ってくるなら、積み立て型の方が良い? のかな。

千﨑

実はそう思われる方が多いです。しかし「掛け捨て型が損だ」とは一概に言えません。それぞれにメリットがあるのです。

S子

? 掛け捨て型のメリットって何ですか?

千﨑

掛け捨て型のメリットは、「月々の保険料が安くて保障が大きいこと」です。
また、商品自体もシンプルで理解しやすい。また途中解約がしやすい
ことも挙げられます。

C江

なるほど。じゃあ、積み立て型のメリットは何でしょうか。

千﨑

積み立て型の保険のメリットは、支払った保険料が戻ってくることです。契約を解約したときには「返戻金」、期間を満了したときには「満期金」を受け取ることができます。また、場合によっては「貯蓄」として活用できます。その他にも保険料が高い分、生命保険料控除などに使える金額も大きいのが特徴だと言えます。

C江

節税しながら貯蓄したい人に向いている、と。

千﨑

保険を選ぶ際には、「掛け捨て」「積み立て」といった言葉のイメージに惑わされないことが大切。両方の特長も把握したうえで、自分自身に合っているタイプを選択するのが望ましいですね。

まずは保険の棚卸しを

S子

掛け捨て型はどんな人に向いているのでしょうか。

千﨑

掛け捨て型を選んだほうがいい人とは、例えば、ご夫婦で子どもが大きくなるまでの間はなるべく安い保険料で万が一に備えたい人が当てはまります。
将来的な見直しを前提としていたり、健康状態がすぐれない間の「つなぎ」の保険を検討している場合は、掛け捨て型の保険が合っていると言えそうですね。

C江

医療保障という点であれば「公的保障制度」を利用してもよいと聞きましたが。

千﨑

よくご存知ですね! 「お金が足りない=保険で用立てる」とお考えの方もいるかもしれませんが、実は、その前に支えとなってくれるのが公的な保障です。
病気やケガへの備え方としては、まずは公的医療保険を利用することが基本となります。例えば、毎月の入院・治療費の上限を定めた「高額療養費制度」があるのをご存知ですか?
70歳未満の方が、入院して100万円かかったとします。そもそも負担するのは3割ですよね。「30万円」お支払いすることになると思われますでしょう? ところが、年収770万円以下の人ならば、自己負担額は87,430円で済みます(年収1160万円以下の人ならば171,820円。それ以上の人でも254,180円)。

S子

それは心強い! 日本の社会保障制度ってスゴイんだ!

千﨑

他にも、会社を休んだ時に支給される「傷病手当金」などがあります。
会社の社内規程に書いてあるので、ぜひ確認をしておいてください。

C江

国や会社からそんなにお金が出るんだったら、もしかして医療系の保険は入らなくていいってことですか?

千﨑

ある程度資産がある方にとっては、そうと言えるでしょう。
保険も自分に合った保障内容や保険料に最適化することは重要ですね。見直した分を運用に回した方が流動性もあり、必要な時に換金できるなどのメリットもあります。まずは、自分が何の保険に入っているのか、どんな保障があるのかを棚卸ししてみましょう。

S子

そうですよね。不要な保険料を払うために手元の資金がなくなるのは本末転倒だと思います。ちなみに、これだけは入っておいたほうがいい保険ってありますか?

千﨑

一つ挙げるとすれば、がん保険ですね。今やがんは2人に1人がかかる病気です。次回は、がん保険について詳しく解説していきましょう。

C江

よろしくお願いします!

<まとめ>
・2018年に「標準生命表」が改定されたことで、保険料が下がっている場合がある
・一つの商品で複数のリスクに対応できる「万能型」保険など、保険の種類が多様化している
・「掛け捨て」「積み立て」、両方の特長を理解して、自分に合うタイプを選ぶ
・民間保険を使う前に、まず公的な保障である「高額療養費制度」や会社の制度でどこまで賄えるのかを確認すべし!
・保険は保障内容が今の自分に合っているかが重要。保険の棚卸をして、都度の見直しが必要